7月4日に内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)にて開催された情報セキュリティ政策会議において、2012年度の情報セキュリティ施策「情報セキュリティ2012」(案)が公開されました。この中で、「新たな技術革新に伴う新たなリスクの出現」としてM2Mに関するセキュリティが大きく取り上げられており、M2Mセキュリティに対する施策案も明記されています。以下は、「情報セキュリティ2012」(案)からの関連部分の引用です。詳しくは、情報セキュリティ政策会議のホームページをご覧ください。
情報セキュリティ政策会議ホームページ:http://www.nisc.go.jp/conference/seisaku/
II 情報セキュリティを取り巻く環境の変化
③ 新たな技術革新に伴う新たなリスクの出現
通信機器の小型化とネットワークインフラの発達により、家電や自動車、センサーなど様々なデバイスがネットワークにつながるようになり、それぞれが人を介さずに情報交換を行うM2Mの利用が広まりつつある。今後、より進化した位置情報技術、インターフェース技術、センサー技術等により、M2M の利用が更に広まれば、社会の幅広い分野でICT サービスの介在を特段意識せずその恩恵を享受できる環境が整備されると予想される。
しかしながら、M2M の利用に係る環境整備は緒に就いたばかりであり、情報セキュリティ対策を念頭に置いた整備が行われる状況に必ずしもないことに加え、M2M で用いられる各種デバイスの大多数は、これまでネットワークに接続されていない、若しくは、クローズドネットワークを前提に設計されていた。これらがインターネット等へ接続されることにより、新たな脅威への対応が必要となる。例えば、デバイスのパッチ適用やアンチウイルス対策が行なわれていなかったり、暗号化や認証機能が不十分など、情報セキュリティ対策が適切に行われていない場合、デバイス経由で情報が漏えいしたり、デバイスそのものが不正コントロールされてしまうことなどが懸念される。
そのようなM2M における情報セキュリティ対策については、従来の人を介在したネットワークに対する情報セキュリティ対策とは異なることから、政府、産業界をあげて早急に検討する必要がある。
III 基本方針
② スマートフォンの本格的な普及等新たな情報通信技術の広まりに伴うリスクの表面化に対応した安全・安心な利用環境の整備
<中略>
さらに、近い将来、スマートグリッドをはじめとするM2M の利用が拡大すると見込まれている。この結果、人が認識しない中で大量の情報がやりとりされ、その情報を基に機械的に最適と判断された状態に移行していくこととなる。これらのネットワークに係る情報セキュリティが侵された場合、システム全体が予期せぬ方向に向かうことも想定され、今後、M2M に係る情報セキュリティの確保も、重要な課題として取り組むべきである。
IV 具体的な取組
5 情報通信技術の高度化・多様化への対応
② M2M における情報セキュリティの在り方
スマートグリッドをはじめ、今後本格的な普及が予想されるM2M について、適切な情報セキュティ確保策を検討し、研究開発を推進する。
(ア) M2M における情報セキュリティの在り方の検討及び研究開発の推進(内閣官房、総務省及び経済産業省)
M2M においては、情報の機密性や完全性等が失われた場合、社会的混乱を招くばかりでなく、情報通信技術基盤に対する信頼が損なわれる可能性があることを踏まえつつ、M2M における情報セキュリティの在り方の検討を行い、情報セキュリティ確保の観点も踏まえた研究開発を推進する。
(イ) スマートグリッドにおける情報セキュリティの在り方の検討(総務省及び経済産業省)
スマートグリッドについて、情報セキュリティが確保されるようセミナー等のあらゆる場を通じた検討を行う。
(ウ) スマートグリッドの情報セキュリティ確保に向けた研究開発(経済産業省)
スマートグリッドについて、情報セキュリティの確保の観点も踏まえた研究開発を実施する。
(エ) 省リソースデバイスにおける情報セキュリティ技術の研究開発(総務省)
スマートメータやセンサなどでデータの収集を行う際、当該データの情報セキュリティの確保やプライバシーの保護は重要な課題である。このような省リソースデバイスに実装可能な軽量暗号技術や大規模ノードにおける認証・プライバシー保護技術などの研究開発を行う。